知られざる押し出しラミネートの世界!さあ、不織布ラミネートを知ろう!

2021/05/25
ラミネート製品
#複合資材事業部#商品紹介#専門知識#ラミネート

「不織布ラミネートの製造工場ってどこにある?」
「押し出しラミネートを使った不織布ラミネート製品の相談をしたい」ご担当者様。

異なる素材を貼り合わせるラミネート加工。包装資材、建築分野、自動車分野、医療分野など製品を作る工程で、不織布ラミネートが必要となってきたという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、三重県に押し出しラミネート工場を持つ株式会社キラックスが、押し出しラミネートの特徴をご紹介し、押し出しラミネートによって作られる不織布ラミネート製品をお伝えしています。

この記事をご一読いただければ、不織布ラミネートについてご理解いただけることでしょう。

1. 知られざる押し出しラミネートの世界

1-1. ラミネートにはどんな種類があるの?

ラミネートとは、複数の素材を貼り合わせることを表します。紙やフィルム、アルミなど単一の素材では得られない性能を向上させる手段としてラミネート加工が使われます。他の素材と組み合わさることで本来の欠点をカバーしながら、組み合わせた素材の特性を活かし、新たな価値を生み出すことができる技術なのです。

ラミネートには、下記のようにいくつかの加工方法があります。 

  • 熱ラミネート:接着材を使用せず、素材そのものを加熱し溶かして貼り合わせる
  • 押し出しラミネート:高温で溶かした樹脂を素材の間に流し込み貼り合わせる
  • ドライラミネート:接着剤を素材に塗布し乾燥させ、熱と圧力で貼り合わせる
  • ウェットラミネート:接着剤を素材に塗布し貼り合わせ、乾燥させる

貼り合わせたい素材や、ラミネートしたもので何を作るかによって、最適な加工方法が変わります。

1-2. 押し出しラミネートの要となる樹脂

押し出しラミネートは、別名「エクストルージョンラミネート」と呼ばれ、主にPE(ポリエチレン)PP(ポリプロピレン)などの“熱可塑性(ねつかそせい)樹脂“を使用して加工されます。熱可塑性とは、熱を加えると柔らかくなり、冷やすことによって固まる性質を表しています。

PEは耐寒性・防湿性・絶縁性・耐油性に優れており、汎用性の高い樹脂として知られています。家庭用のラップや食品保存容器、バケツやガソリンタンクもPEから作られています。

PPは引張強度、衝撃強度といった機械的強度に優れており、電子レンジ対応製品を作るのに最適な耐熱性を持ち合わせています。食品容器はもちろん、自動車部品、家電部品、注射器などの医療用品にもPPが使われています。

PEやPPといった樹脂はペレット状になっており、300℃以上の高温で加熱することによって、素材同士を貼り合わせる役割を果たします。溶かした樹脂をフィルム状に押し出し、均一に流し込むことで、精度の高いラミネート加工が可能となるのです。

1-3. 押し出しラミネートの“推しポイント”

押し出しラミネートには、樹脂を使ってラミネートするからこその“推しポイント”があるのです。それは、持たせたい機能に合わせて樹脂を選ぶことができる点です。

例えば、梱包する中身を湿気から守りたい場合に、防湿性に優れたPEを樹脂として使用します。水に弱い紙でもPEを貼り合わせることで、防湿性を持った紙となり得るのです。

また、耐熱性を持たせたい場合にはPPを樹脂として選択します。さらに、防湿性を持たせるために特殊な樹脂を使用することも可能です。

熱ラミネートの場合は、素材同士を熱で圧着するため防湿性や耐熱性といった機能を追加することができません。しかし、押し出しラミネートでは樹脂の特性を生かした貼り合わせができるため、新たな機能を付与することができます。

押し出しラミネートにおける樹脂の役割は、単に素材を貼り合わせるだけでなく、新たな付加価値を追加するという重要な役目も果たしているのです。

2. さあ、不織布ラミネートを知ろう!

2-1. 不織布ラミネートってどんなもの?

不織布とは、繊維を織らずに組み合わせたシート状のもので、簡単に言うと“織らない布“のことです。スパンレースやスパンボンドと呼ばれる種類があり、マスクやおしりふきといった身近なものから、医療、農業、建築、自動車産業など幅広い用途で使用されています。

この不織布に別の素材をラミネート加工した製品を「不織布ラミネート」と呼びます。不織布にどんな機能を追加したいかによって、フィルム、紙、アルミ箔などといった貼り合わせる素材を選定しています。

2-2. 隠れているけど超重要!自動車に欠かせない不織布ラミネート

実は、私たちの生活に欠かせない自動車にもこの不織布ラミネートが隠されています。自動車の天井裏には電気配線が通っており、配線が固定されている場所に不織布ラミネートが使われています。吸音効果を持つ素材である不織布を採用し、配線が擦れて音がしない工夫が施されています。

さらに、自動車の天井には空気を遮断する”通気止め“の効果が必要です。しかし、不織布は通気性が良い性質を持っているため、単体ではその役割を果たすことができません。

そこで空気を通さないためにCPPというフィルムを貼り合わせ不織布ラミネート加工し、通気止めの効果を持たせているのです。CPPは耐摩耗性に優れており、穴が空きにくい特性を持っているため、天井材としての不織布ラミネートに最適な素材です。

通気性の良い素材である不織布にCPPをラミネートすることによって欠点を補いつつ、新たな価値を追加した不織布ラミネートが完成するのです!

※自動車天井材の一部(複層構造になっており、不織布ラミネートは上部の1枚)

自動車の天井材として使用される不織布ラミネートは、不織布+PP+CPPの構造になっています。貼り合わせるための樹脂として耐熱性の高いPPを使用するのは、天井を作る際の型抜き工程にて高温プレスが必要となるためです。CPPもレトルト対応のフィルム素材であり耐熱性に優れているため、自動車の天井材にはこの構成での不織布ラミネートが採用されています。

このように持たせたい機能に合わせて樹脂や素材を選択し、高機能な製品を生み出すことができるのが、押し出しラミネート最大の特徴なのです。

2-3. 今や医療に欠かせません!防護服にも不織布ラミネート

医療分野においても不織布を使った製品が数多くあります。感染対策として最も効果があるとされる不織布マスクやガーゼ、防護服にも不織布が使用されています。

実は、防護服の素材にも不織布ラミネート加工が施されているのです。医療用の防護服は、医師や看護師が患者の飛沫や唾液、血液などから身を守るために着用されます。

衛生的に優れた素材である不織布ですが、単体では通気性が良いため、空気や水分を通してしまいます。不織布単体の防護服では、感染リスクから身を守ることができません。

そこで、不織布の外側にPEをラミネートし、通気性が良いという不織布の欠点を補っています。防護服に使用される不織布ラミネートは、不織布+PEの二層構造になっています。押し出しラミネートは異素材の貼り合わせだけでなく、単体素材にない機能を追加するためのコーティングとしての能力も持ち合わせているのです。

また、医療用の防護服は1度限りの使い捨て使用となるため、なるべく安価に製造することが求められます。そこで高速ラミネートが可能な押し出しラミネートを使うことで、安価に大量の不織布ラミネート製品を製造することができます。

3. まとめ

押し出しラミネートで作られる不織布ラミネート製品ついてお分かりいただけたでしょうか。

キラックスでは、約50年に渡って高機能なラミネート製品を製造し続けており、誇りを持って製品をお届けしています。

「不織布とフィルムを貼り合わせる工場を探している!」「熱ラミネートから押し出しラミネートに変えてみたい」という方、お気軽にキラックスまでお問い合わせください。

持たせたい機能に合わせて、素材や樹脂のご提案から試作、納品までスピーディに対応させていただきます。

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