知って損なし!食品包装フィルムの材質ー主な8種類を解説します
食品包装に使われるフィルムは、OPP、PE、PETなどさまざまです。
フィルムの種類が多くて、材質の特徴がよく分からない!という方へ、食品包装フィルムの種類や材質の特徴を解説しています。50年以上に渡り、包装資材を販売する株式会社キラックスが、食品包装については全くの初心者…という方にも分かりやすくお伝えします。
この記事をご一読いただければ、食品包装フィルムの特徴についてお分かりいただけるでしょう。
INDEX
1. 食品包装フィルムの特徴は?
食品包装フィルムは、大きく二つに分類されます。ここではそれぞれの特徴をご紹介します。
1-1. フィルム単体で使えるもの
一つ目はフィルム単体で使えるもの。フィルム単体を袋に加工したり、ロール状のフィルムを機械にかけて包装したりして使用しています。フィルム単体で使える材質はPEやOPPで、簡易的な包装用途に適しています。
元々OPPはフィルム単体のみで袋にすることができないため、食品包装の用途としてはヒートシール性のあるOPや、パートコート糊を使用したパートコートOPが使われています。
生鮮野菜にはOPPの一種であるOPP防曇袋が使用されます。防曇とは“曇り防止”のことで、OPPフィルムに水滴がつかないよう処理が施されています。OPP防曇フィルムを使用して、機械での食品包装に使用する場合もあります。
このように、食品に合わせた材質選定の際に、十分な機能を果たせる場合はフィルム単体で食品包装に使用されています。
1-2. フィルムを貼り合わせたラミネート品
二つ目はフィルムを貼り合わせて作るラミネートフィルムやラミネート袋です。ラミネートとは、フィルムを貼り合わせて機能性をアップさせる技術のこと。
フィルム単体では求める機能を果たすことができない場合は、フィルムを貼り合わせラミネート品を使用します。
一言にラミネートと言っても、材質の組み合わせや厚みはさまざまで、2層ラミネートから、多いものでは5層ラミネート品も!中に入れる食品や持たせたい機能によって使い分けられています。
2. よく使われる8種類の材質を解説
食品包装フィルムは、材質によってさまざまな特徴を持っています。どんな種類があるのでしょうか。ここでは、8種類の主な材質の特徴を解説していきます。
2-1. ONy(二軸延伸ナイロン)
ONy(二軸延伸ナイロン)は、耐衝撃性・耐熱性・耐寒性・突き刺し強度に優れたフィルム。食品ラミネート袋で汎用性の高いナイロンポリ袋に使用され、真空や液体の食品包装にはONyが使われていることが多く、他素材とラミネートすることで、冷凍食品やボイル・レトルトにも対応できます。
ちなみに、バリア性を持たせたバリアナイロンや、塩化ビニリデン(PVDC)をコートしたKナイロンも、ラミネート袋に多用されています。
2-2. HDPE(高密度ポリエチレン)
「ハイデン」と呼ばれるHDPE(高密度ポリエチレン)は、耐水性・耐酸性・耐アルカリ性・耐衝撃性・耐寒性・防湿性があり、ある程度の強度はありますが、突き刺しには弱い性質を持っています。
レジ袋やスーパーのシャカシャカとしたロールポリ袋にフィルム単体で使用されることが多く、ラミネート品にはあまり使用されていません。
2-3.LDPE(低密度ポリエチレン)
LDPE(低密度ポリエチレン)は「ローデン」と呼ばれ、HDPEと同様に、耐水性・耐酸性・耐アルカリ性・耐衝撃性・耐寒性・防湿性があります。
ヒートシール性に優れており、フィルム単体ではツルツルしたポリ袋に代表され、ゴミ袋や軽包装ポリ袋などに使用されています。ガス遮断性・耐油性・耐熱性はよくありません。
ラミネート加工する際に、フィルムを貼り合わせるための樹脂としても活用されています。
2-4. LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)
LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)は、HDPEとLDPEの中間のようなフィルムで、見た目はLDPEと区別がつきません。「リニアローデン」や「LL」と呼ばれています。
強度が高く、ヒートシール性や耐衝撃性に優れており、ONyなどの他素材と貼り合わせたラミネートフィルムに多用されます。ラミネートに使用されるPEは、ほぼLLDPEであると言っても過言ではありません。
2-5. PET(二軸延伸ポリエステル)
PETボトルの素材で有名なPET(二軸延伸ポリエステル)。耐水性・耐熱性・耐寒性・耐薬品性に優れ、透明性の高い材質です。
LLDPEやCPPと貼り合わせたラミネート品や、冷凍・ボイル・レトルト対応の食品袋にもに使用されています。PETの特徴は保香性に優れた点であり、コーヒーや香辛料の包装にも好適です。
2-6. OPP(二軸延伸ポリプロピレン)
ポリプロピレンの一種であるOPP(二軸延伸ポリプロピレン)は、耐熱性・防湿性・引張強度に優れ、透明度が高いフィルムとして知られています。
生鮮野菜や果物などの簡易的な食品包装に使われ、パリッとした袋が特徴的。単体ではヒートシール性がありませんが、LLDPEやCPPといった「シーラント」と呼ばれるヒートシール性のあるフィルムと貼り合わせて活用されています。
2-7. CPP(無延伸ポリプロピレン)
OPP同様ポリプロピレンの一種であるCPP(無延伸ポリプロピレン)は、防湿性・耐熱性・耐摩耗性・ヒートシール性に優れているのが特徴。
単体では麺やパン袋にも使用されていますが、OPPやPETなど異なるフィルムと貼り合わせたラミネート袋にも活用されます。
2-8. AL(アルミ箔)
アルミホイルの素材で有名なAL(アルミ箔)は、遮光性・保香性・耐熱性に優れ、包装フィルムの中でも非常にバリア性の高い材質。
酸素や水分を通さないので、ガス充填包装や脱酸素包装などにも活用されています。LDPEやPET、CPPなど他のフィルムと貼り合わせたラミネート袋に多用され、レトルト対応の材質としても重宝されています。
また、プラスチックフィルムにアルミを吹き付けたアルミ蒸着フィルムもラミネート袋に多く使用されています。湿気や酸化から食品を守るため、菓子袋にアルミ蒸着フィルムが使われることも。
3. まとめ
このように、食品包装に使われるフィルムはさまざまで、それぞれ異なる特徴を持っています。
フィルム単体で使用できる材質もあれば、異なるフィルムを貼り合わせて機能性をアップさせることで、より多く活用できる材質も!
主な材質の特徴を抑えておけば、今後の食品包装フィルムの選定にお役立ちいただけるのではないでしょうか。
食品包装に使用される袋やフィルムの選定にお困りの方は、キラックスまでお気軽にご相談ください。
◎用途別のフィルム構成をご紹介!今お使いの食品袋はどのような構成でしょうか?
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◎さまざまなフィルムを貼り合わせるドライラミネート加工で食品包装フィルムを製造しています。
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