食品袋の種類や材質は?用途別フィルム構成9選
食品包装に使われる袋は、OPP袋やPE袋、ラミネート袋など、中に入れる食品によってさまざまです。
食品袋のフィルム構成がたくさんあって分からない!という方へ、50年以上に渡り食品包装資材を製造・販売する株式会社キラックスが、用途別フィルム構成9選をご紹介します。
この記事をご一読いただければ、食品袋に使われるフィルム構成や、持たせたい機能に合わせたフィルム選定についてお分かりいただけるでしょう。
INDEX
1. 食品袋の種類や材質は?
1-1. 食品包装の種類
食品包装の種類は大きく2つに分類されます。一つ目は「フィルム」で、袋の形に加工する前の巻物タイプのものを指します。みなさんのご家庭にある食品用ラップと同じ形です。
フィルムを使った食品包装は、機械を使って行います。包装するための専用の機械「包装機」を使用し、食品をフィルムで包んでいきます。食品を包み、フィルムを熱圧着で止めることによって密封し、袋にしています。
食品が包装され販売されるときには袋の状態になっているので、一般消費者にはフィルム包装なのかどうかを判別することは難しいかもしれません。
二つ目は、「袋」です。こちらは私たちの生活にも身近な形で、一辺のみ口があいており、残りは閉じた状態のものを指します。
一言で袋と言っても、三方袋・合掌袋・ガゼット袋・スタンド袋・角底袋などがあり、袋の形にする時の貼り合わせ位置の違いや、袋のサイドや底部分にマチを持たせた仕様などいくつかの形状があります。
1-2.食品包装に求められることとは
食品包装の材質を選ぶ際には、フィルムや袋にどんな機能を求めるかが重要になります。
求められる主な機能としては、ガスバリア性・保香性・防湿性・静防性・遮光性・ボイル対応・レトルト対応・冷凍対応・液体対応・真空対応などが挙げられます。
ガスバリア性とは、炭酸ガス(CO2)・窒素ガス(N2)・酸素ガス(O2)を通さない性質のことで、ガスバリア性のある袋には脱酸素剤の使用が可能です。反対に、脱酸素剤を使用する場合、ガスバリア性のある袋を使用しなければ脱酸素剤の効果を発揮することができません。
求める機能に合わせた材質やフィルム構成を選ぶことが、食品袋の選定において重要となるのです。
2. 用途別フィルム構成9選
それでは、実際に求める機能を果たすためにはどんな材質のフィルムを使用すればよいのでしょうか。ここでは、Q&A方式で用途に応じたフィルム構成をご提案していきます。
◎フィルム構成の前に、材質ごとの特徴を知りたい方はこちらをご覧ください。https://www.kiracs.co.jp/blog/3120/
2-1. 生鮮野菜におすすめの袋
Q. 野菜用の袋で、冷蔵ケースに入れても曇らない袋はある?
―A. 防曇OPP袋がオススメです。防曇とは、曇り防止処理が施されたもの。野菜や果物など、短期間で販売する生鮮野菜にはOPP単体の食品袋がよく使われています。
2-2. あられやせんべいを守るには
Q. あられやせんべいを入れるための透明袋が欲しい!
―A. 防湿性を持った袋が必須です!ヒートシールOPP単体袋・パートコートOPP単体袋・OPP/CPPの2層ラミネート袋などをご提案しています。
2-3. 真空ボイルに対応できる袋
Q. 惣菜用の袋で真空包装とボイルに対応した袋は?
-A. ONy/LLDPEの2層ラミネートがおすすめです。長期保存など、さらにバリア性を高めたい場合は、バリアNy/LLDPEや透明蒸着PET/LLDPEの2層ラミネートをご提案しています。
2-4. 香りの強い食品のフィルム構成
Q. キムチを販売するのに適したフィルム構成は?
―A. キムチや漬物など香りの強い食品には、保香性を持たせるためPETをラミネートした構成がおすすめ。PET/ONy/LLDPEの3層ラミネートをご提案させていただきます。
2-5. 冷凍食品対応のフィルムは
Q. 冷凍食品用の包装フィルムは?
―A. コストメリットが大きいのは、ONy/LLDPEの2層のラミネートです。日光による食品の劣化を抑えるために、OPP/蒸着PET/LLDPEの3層ラミネートもご提案しています。
2-6. 突き刺し強度を持たせるには
Q. 突き刺しに強く、真空包装が可能な食品袋は?
―A. PET/ONy/LLDPEがおすすめ。PETをラミネートすることで強度がアップします。また、耐ピンホール用のナイロンを使用した耐ピンNy/LLDPEや、18μ・25μなど厚手のONy/LLDPEでも強度を持たせることができます。
2-7. レトルト食品に適した袋
Q. レトルト対応で、液体包装に適した食品袋は?
―A. コストメリットが大きいのは、ONy/耐熱CPPの2層ラミネート袋です。レトルト後の強度を持たせたい場合には、PETを追加したPET/ONy/耐熱CPPの3層ラミネート袋が○。また、日光からの保護や災害用の食品など長期保管を求める場合には、アルミを入れたPET/AL/ONy/耐熱CPPの4層ラミネート袋がおすすめです。
2-8. 脱酸素剤が使える袋
Q. 脱酸素剤を使うにはどんな種類の袋を選べばいいの?
―A. 脱酸素剤を使うには、バリア性のあるラミネート袋が必須です。重量物や液体ものにはバリアONy/LLDPEの2層ラミネート袋、焼菓子・カステラなどの軽量物にはバリアOPP/CPPの2層ラミネート袋をご提案します。また、ピンポールしやすいものを入れる場合にはOPP/蒸着PET/CPPの3層ラミネート袋をおすすめしています。
2-9. 酸素や日光を通さないためには
Q. 酸素も日光も通しにくい袋ってあるの?
-A. 酸素を通さないバリア性と、日光を通さない遮光性が必要です。遮光性を持たせるためには、アルミをラミネートしたフィルムや袋を使用します。
・菓子などの軽量物…OPP/アルミ蒸着CPPの2層ラミネート
・固いもので軽量物…OPP/アルミ蒸着PET/CPPの3層ラミネート
・液体で重量物…ONy/アルミ蒸着PET/LLDPEの3層ラミネート
中に入れる食品に合わせたフィルム構成をご提案しています。
ここで注意しておきたい点は、アルミを吹き付けたアルミ蒸着では完全に光を遮ることはできません。アルミ蒸着フィルムを使用した袋は光を通しにくい構成になっていますが、遮断するまでの機能性はありません。完全に光を遮断したい場合は、アルミそのものをラミネート構成に入れる必要があります。
◎フィルムを構成するONy、OPP、PETなど材質ごとの特徴については、こちらの記事をご参考ください。https://www.kiracs.co.jp/blog/3120/
3. まとめ
食品袋の種類と、用途に応じたフィルム構成について、お分かりいただけたでしょうか。
こちらでご紹介した構成はほんの一例であり、必ずしも上記の組み合わせが最適とは言えません。中にいれる食品や持たせたい賞味期限や保存期間・保存条件を考慮した上で、最適な材質を選定していきます。
ラミネートするフィルムの数が増えれば、より丈夫な食品袋を作ることができますが、その分コストは高くなります。持たせたい機能を最大限に生かせる材質を使用し、コストを抑えた組み合わせでご提案をさせていただきます。
食品包装用の袋やフィルムの選定にお困りの方、現在使用しているフィルム構成に不安のある方は、キラックスまでお気軽にご相談ください。